2007/4 信越化学事故 余波続く

2007/5 信越化学、医薬品用セルロース  ドイツで生産 

     信越化学直江津工場 2ヵ月ぶり操業再開

 

日本経済新聞 2007/3/21        

信越化学 直江津工場爆発
工場爆発 3人重体 新潟の信越化学 14人が重軽傷

 20日午後4時25分ころ、新潟県上越市頚城区西福島、信越化学工業直江津工場で爆発があった。工場は炎上、県警によると、作業員の斎藤成治さん(50)ら3人がやけどなどで重体、14人が重軽傷を負った。火災は約5時間後に鎮火した。 上越市によると、爆発の衝撃で近くの民家など19軒の窓ガラスが割れたり、戸が外れたりした。周辺住民約130人が一時避難した。
 
 同社によると、工場の4階にはメチルセルロース製造過程で、パルプと薬品を反応させる機器などがあった。メチルセルロースに引火性はなく、有毒ガスの発生もないという。
 工場は敷地面積が約56万平方メートルで、従業員数は約千人。
1973年にも爆発事故があり、死傷者が出ている。

塗料・医薬業界に影響も セルロース誘導体、世界シェア3割

 
 信越化学の生産拠点は国内では直江津工場しかなく、あとはドイツに拠点があるだけ。日本市場向けの製品は主に直江津工場で供給している。今後の供給体制について同社は「ドイツからの輸入や競合他社への肩代わり依頼を検討している」(広報部)という。
 セルロース誘導体は米ダウ・ケミカルが海外拠点から日本市場に一部供給している。同社日本法人の幹部は「どんな対応が可能か検討したい」と説明している。ただ欧米市場でも需要は旺盛で、信越化学の操業停止が長引けぱ顧客企業への供給が停滞する懸念がある。
 

  ブログ 2006/10/10  「信越化学、ヨーロッパのメチルセルロース能力増強完了」 参照


信越化学社史 

 1973年10月28日午後3時30分ころ、直江津工場の東側、ほぼ中央にある塩ビモノマー工場で爆発事故が発生し、火煙が十数mに達した。破壊されたタンクなどから流出したモノマーガスや溶剤に引火して爆発を繰り返した。
 当日は日曜日であったが、直ちに自営および公設の消防車が出動して消火に当たった。しかし、火勢が強いため火元付近には近寄れず、事務室、分析室を焼いたあと火は計量タンクや球形モノマータンクに移り、2日後の30日午後1時になって鎮火した。
 この事故により従業員1人が死亡、6人が重傷を負ったほか、近隣住民11人を含む17人の軽傷者があった。また、公共建物、民家約660戸の窓ガラスが割れ、瓦が落ちるなど被害範囲は半径2.2qにわたった。 


 粗塩ビモノマーに含まれる不純物を除去するストレーナー(濾過器)の清掃が10日ごとに行われるが、事故はその作業中に起こった。このストレーナーは本来2系列あり、清掃ごとに交互に使用していたが、修理のため1系列で運転されていたことも不運につながった。清掃作業は予定通り行われたものの、作業員がストレーナー内に残留したモノマーガスを気化放散したところで、粗モノマータンク側のバルブからガスが漏洩していることに気がついた。このため作業員はバルブの締め方が不十分と考えて鉄製のハンドルまわしで力を加えたところ、バルブのヨーク部が切断されてバルブは全開状態となり、タンク内にあった粗モノマー約4トンが噴出してガスとなった。このガスは空気より重いため地上をはうようにして塩ビ工場一帯に拡散した。ガス噴出は3時15分ごろである。その後の15分間に危険を感じた塩ビ工場の作業員ができる限りスイッチを切って退去したあと3時半ごろに爆発が起こった。この時、現場確認のために戻った作業長が殉職した。


日本経済新聞 2007/4/13

信越化学事故余波続く   錠剤用セルロース生産停止
 製薬会社 調達に躍起 海外品で代用探る動きも


 生産停止が続く「セルロース誘導体」は錠剤を固める結合材やコーティングなどに使う。信越化学は世界シェア約3割の大手。医薬品向けは国内シェアの約9割を握り、直江津工場でしか生産していない。同工場は医薬業界のいわば陰の生命線だ。


だがセルロースは世界的に品薄気味。ダウ・ケミカル日本の神永剛社長は「我々にも既存の顧客があり、すぐに信越化学に対応するのは難しい」と困惑する。

海外品で代用する場合も、製品によっては原材料の一部変更を厚生労働省に申請し、審査・承認手続きが必要になることも考えられる。「通常は1年ほどの審査期間を特例で短縮してほしい」と行政当局に協力を求める声も多い。