世界の石油化学製品の今後の需給動向 (2002/3)
(2002/3/11 Chemnet
Tokyo)
世界のエチレン需要、06年1億1000万トンに「アジア拡大・日本は減少」経産省
経産省化学課は11日、「石化品の需要は、今後とも世界的には大きく伸びるが、日本だけはマイナス成長が続くと予想される」とする、2002〜2006年の「世界の石油化学製品の需給動向」を発表した。
石化製品の世界の需要は2001年の9,205万トンから06年には11,951万トンへと年率5%の伸びが見込まれる。地域的には中国を含むアジア地域の伸びが大きく、逆に日本は製品輸入の拡大や、ユーザーの海外移転などから国内需要は06年549万トンと00年の585万トンから約50万トン減少すると予想している。 (以下略)
本文
資料
平成14年3月
経済産業省
製造産業局化学課
経済産業省製造産業局化学課は、昨年度に引き続き、内外の石油化学製品の需給動向を見通すため、「世界の石油化学製品の今後の需給動向に関する研究会」での議論を踏まえ、エチレン系・プロピレン系、及び芳香族製品等の石油化学製品について、西暦2006年までの世界の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめた。なお、本稿の作成方法は、末尾の「参考」を参照のこと。
1.世界のエチレン系誘導品及びエチレンの需給
(1) 世界のエチレン系誘導品の需要
- 2000年の世界のエチレン系誘導品需要実績(エチレン換算値)は、8,886万d(前年比+4.1%増)。2001年の需要は、9,207万d(前年比+3.6%増)で、北米、欧州、日本での伸びは前年比ゼロないしマイナスであったが、中国の需要の伸びが極めて大きく(前年比+17.4%)、全体の数字を引っ張っている。
- 2002年以降、世界全体で安定的な経済成長が達成されることを前提に、各国・地域ごとの需要を積み上げると、2000〜2006年の需要量の伸びは年平均+5.1%、2006年の需要量は11,973万d(2000年比で+3,087万d)となる見通し。
- 製品別の需要は、ポリエチレンが年平均+5.8%、EGが年平均+5.3%と、比較的高い伸び。
- 需要の伸びは地域別に傾向が異なり、アジア地域が年平均+6.3%程度。特に、中国(+10.6%)、インド(+7.6%)、インドネシア(+8.4%)の3カ国による需要増が大きく、中国1ヶ国のみで、2000年から2006年までの間に+857万dの需要増。一方、北米は年平均+4.9%、西欧は年平均+2.5%の安定成長で推移する見通し。
- 日本における需要は、2000年の実績575万d、2001年の実績566万dに対し、一定程度の経済成長とユーザーの海外移転の動き等を考慮し、2006年は556万d程度と見通している。
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(注) エチレン系誘導品需要:
LDPE、HDPE、SM、PVC、EG及びその他誘導品需要のエチレン換算合計値。
【表1−1】 世界のエチレン系誘導品の需要(エチレン換算値)
(単位:百万トン、%)

(2)
世界のエチレン系誘導品の生産能力
- 世界のエチレン系誘導品の生産能力(エチレン換算値)は、2000年末時点で10,751万d。 現在計画されている生産能力新増設計画に基づくと、2006年末の生産能力は12,869万d(2000年比で+2,118万d)で、年平均+3.0%で増加する見通し。
- 2000〜2006年の地域ごとの生産能力年平均伸び率は、アジアが+3.6%、北米が +1.5%、西欧が+1.4%、中東が+7.7%。
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【表1−2】世界のエチレン系誘導品の生産能力(エチレン換算値ベース)
(単位:百万トン、%)

【表1−3】世界のエチレン系誘導品の製品別生産能力
LDPEの生産能力
(単位:百万トン、%)

HDPEの生産能力
(単位:百万トン、%)

PVCの生産能力
(単位:百万トン、%)

EGの生産能力
(単位:百万トン、%)

SMの生産能力
(単位:百万トン、%)

(3)
世界のエチレン系誘導品需給バランス
- 世界全体の生産能力と需要量との差異は、現在の新増設計画を基に考えると、2000年から2006年にかけて、需要の伸びが徐々に生産能力の伸びに追いついていく見通し。製品別には、特にLDPEの生産能力の需要に対する超過幅が大きい。
- 各国・地域ごとの生産能力及び需要量をベースに、それぞれの国・地域におけるエチレン系誘導品の生産量を見通し、需要量との差異(需給バランス=輸出入ポジション)を計算したものが下記の【表1−4】(及び【図1】)。
- 中国のマイナスバランス(=輸入超幅)が、2006年に886万dに拡大することにより、アジア全体では687万dの輸入ポジションとなることが見通される一方で、中東における輸出超幅が、2006年には755万dに拡大する見通し。
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(4) 世界のエチレン需給
- 上記のエチレン系誘導品の生産量を前提として、原料エチレンの需要量を見通すと、2000年の実績値8,869万d(前年比+3.5%)から、2006年には11,185万dに達する見通し(年平均伸び率+3.9%)。
- 現在の新増設計画を前提とすると、エチレンの生産能力は、2000年末の10,134万dから、2006年に12,094万dに増加する見通し(年平均伸び率+3.0%)。
- 日本のエチレン需要量(=エチレン系誘導品の国内生産量〔エチレン換算値〕)は、内需を横ばいとし、誘導品の輸出の減少、輸入の増加をある程度見込むと、2000年の実績値737万d、2001年の実績値711万dに対して、2006年の見通しは649万d。
(「【表1−8】日本のエチレン需給の見通し」を参照。)
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(注) 輸出比率: エチレン誘導品輸出/エチレン内需
輸入比率: エチレン誘導品輸入/エチレン内需

2.世界のプロピレン系誘導品(PP及びAN)及びプロピレン需給
(1)世界のプロピレン系誘導品需要
- 2000年の世界のプロピレン系誘導品需要実績(プロピレン換算値)は、3,542万d(前年比 +4.8%増)。2001年の需要は、3,710万d(前年比+4.8%増)。
- 2002年以降、世界全体で安定的な経済成長が達成されることを前提に、各国・地域ごとの需要を積み上げると、2000〜2006年の需要量の伸びは年平均+5.6%、2006年の需要量は4,905万d(2000年比で+1,363万d)となる見通し。
- 製品別の需要は、ポリプロピレンが年平均+6.1%と、比較的高い伸び。
- 地域別の需要の伸びは、アジア地域が年平均+5.6%、北米が+5.8%、西欧が+3.8%。国別には、中国(+8.8%)、インド(+8.8%)、米国(+5.8%)などが高い伸び。
- 日本における需要は、2000年の実績340万d、2001年336万dに対し、2006年に365万d(年平均+1.2%)となる見通し。
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(注)プロピレン系誘導品需要:
PP、AN需要のプロピレン換算合計値。(その他誘導品需要は、合計値に含んでいない。)

(2)
世界のプロピレン系誘導品の生産能力
- 世界のプロピレン系誘導品の生産能力(プロピレン換算値)は、2000年末時点で4,360万d。現在計画されている生産能力新増設計画に基づくと、2006年末の生産能力は5,146万d(2000年比で+786万d)で、年平均+2.8%で増加する見通し。
- 2000〜2006年の地域ごとの生産能力年平均伸び率は、アジアが+3.2%、北米が +0.8%、西欧が+0.9%、中東が+14.9%。
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(3)
世界のプロピレン系誘導品需給バランス
- 世界全体の生産能力と需要量との差異は、現在の新増設計画を基に考えると、2000年から2006年にかけて、需要の伸びが徐々に生産能力の伸びに追いついていく見通し。
- 各国・地域ごとの生産能力及び需要量をベースに、それぞれの国・地域におけるプロピレン系誘導品の生産量を見通し、需要量との差異(需給バランス=輸出入ポジション)を計算したものが下記の【表2−4】(及び【図2】)。
- 中国のマイナスバランス(=輸入超幅)が、2006年に307万dに拡大することにより、アジア全体では192万dの輸入ポジションとなる見通し。
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(4)
世界のプロピレン需給
- 上記のプロピレン系誘導品の生産量を前提として、原料プロピレンの需要量を見通すと、2000年の実績値5,163万d(前年比+5.1%)から、2006年には6,561万dに達する見通し(年平均伸び率+4.1%)。
- 現在の新増設計画を前提とすると、プロピレンの生産能力は、2000年末の6,228万dから、2006年に7,347万dに増加する見通し(年平均伸び率+2.8%)。
- 日本のプロピレン需要量は、内需を横ばいとし、誘導品の輸出の減少、輸入の増加をある程度見込むと、2000年の実績値508万d、2001年495万dに対して、2006年の見通しは453万d。
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3.世界の芳香族及び誘導品需給
(1) 世界の芳香族の需給
- 2000年における世界のベンゼン、トルエン、キシレン需要実績値は、それぞれ3,279万d(前年比+6.9%)、1,445万d(+3.2%)、2,316万d(+0.1%)。各製品の需要の、2000〜2006年の年平均伸び率見通しは、それぞれ+3.3%、+2.6%、+3.4%。
- 他方、2000年における世界のベンゼン、トルエン、キシレンの生産能力は、それぞれ4,243万d、1,863万d、3,188万dで、2000〜2006年の生産能力の年平均伸び率見通しは、それぞれ+0.8%、+0.7%、+1.3%。
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表 略
(2)
世界のパラキシレン、PTAの需給
- 2000年における世界のパラキシレン需要実績値は、1,618万d(前年比+4.6%)、 PTAの需要実績値は2,295万d(+7.6%)で、需要全体の6割以上をアジアが占めている。
- 2000〜2006年の需要の年平均伸び率見通しは、パラキシレンが+6.5%、PTAが+6.6%で、2006年における需要量見通しは、それぞれ2,359万d、3,375万d。
- 他方、2000年時点におけるパラキシレン、PTAの生産能力は、それぞれ2,171万d、 2,564万d。
- 現在計画されている生産能力新増設計画を考慮すると、2006年末の生産能力は、それぞれ2,598万d、3,313万dで、それぞれ年平均+3.0%、+4.4%で増加する見通し。
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表 略
4.世界の主要国・地域の石油化学産業の動向
(1) アジア
- 2001〜2002年にかけて世界経済減速の影響を受けるものの、中期的には高い経済成長が見込まれる地域。特に、中国においては、2006年まで内需と輸出により7%程度のGDP成長率が見込まれ、石油化学製品の需要が急速に拡大する見通し。
- 石化産業の生産能力は、全体として設備能力の増加はそれほど多くない。中国における欧米系企業のエチレン計画については、2005年時点で1計画、2006年時点で2計画の稼動開始を想定している。
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@ 日本
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石化製品のユーザーの海外移転が進む等、石化製品の内需は落ち込んでおり、またアジア諸国からの製品輸入の拡大、輸出の伸び悩みから、輸出入バランスも悪化。
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環境変化の中で、コスト競争力をいかに実現するかが喫緊の課題。
A 韓国
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2001年は2.9%の経済成長を達成する見込みで、2002年以降は年間4%程度の成長を見込んでいる。
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輸出の4割が中国向けであるが、中国市場をめぐる競合が激しくなることによる影響が懸念される。
B 台湾
・
世界的なITブームを背景に2000年には5.9%の経済成長率を記録したものの、その後の米国経済の失速等により、2001年の経済成長率は−2.1%に落ち込む見込み。 2002年の経済成長率は、世界経済の後退の底打ちが期待され、台湾も輸出を回復する見込み。
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台湾の石化誘導品メーカーは、従来、基礎原料・中間原料の不足に悩んでおり、2001年第3四半期にはFPCの増設によるオレフィンの生産能力の増強がほぼ完了したものの、依然としてこの傾向は変わっていない。
C 中国
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2002年は米国経済の鈍化の影響等が懸念されるが、今回の見通しの前提としては、今後の経済成長率を7%と置いている。
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中国の需要は、引き続き大きな拡大傾向を維持すると考えられ、2005〜2006年前後に大型エチレンプラントが稼働した後も、しばらくは誘導品での輸入が増加を続ける見通し。
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また、2002年から2003年にかけ、大型・中型プラントの増設が予定されている。最近、PTAの需要が増大しており、2002年200万dの能力が500万d弱に増強される見通し。
D アセアン
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米国経済の減速に伴う世界経済の低迷に影響され、各国とも成長はやや鈍化する傾向。シンガポールでは2001年に−2.2%と落ち込んでおり、マレーシア0%、タイ1.5%。
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中東での大型エチレンプラントの稼働等を受け、各国とも大規模なプラントの新増設計画の動きは、今のところ見られない。
(2) 西欧
- 2001年は、前年の急成長から転じて景気が冷え込み、欧州委員会の見通しでは通年の経済成長率は1.4%。今回の2006年までの需給見通しにあたっては年2%の成長を前提とした。
- 石化産業の再編の動きは続いており、業界の寡占化が進んでいる。また、今後、中東の石化産業の欧州進出の動向が注目される。
- 欧州では2006年まで大規模なエチレン生産設備の新設計画はなく、デボトルネッキング250万dの増設計画があるのみ。
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(3) 米州(米国)
- 米国経済は2001年の第4四半期に向けて回復基調にあったが、同時多発テロにより国内景気は一気に冷え込み、石化製品への需要は回復していない。但し、流通在庫は極端に減少しているため、消費回復の兆しがあれば、需要の急速な伸びが期待される状態。
- 石化プラントの新増設については、90年代の好景気を背景に2001年までにほぼ完成。最近の経済の低調さを反映し、BASF−FINA合弁のエチレンプラントの稼働が2001年秋にずれこんだほか、2002年以降もFormosaのHDPEプラント等について稼働の遅れが見込まれている。
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(4) 中東
- 海外企業の資本、技術力、事業運営ノウハウ等を導入し、産油依存経済からの自立化、資源の有効利用、利益源の多様化を目指している。
- 2001年初めにサウジアラビアで大型エチレンプラント3基(230万d)が稼働を開始。今後、2006年までに、カタール(50万d、)、イラン(52万d+110万d)、サウジアラビア(100万d)の新設が見込まれる。
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(注) 本文に関し、
(1)
アジアには中東を含まない。また、トルコは中東には含まれず、西欧に含まれる。
(2) 能力は年間能力を示す。
(3)
伸び(又は伸び率)に関し、特に言及がない場合は年平均伸び(又は伸び率)を示す。
(参考)世界の石油化学製品の今後の需給動向の算出方法
1.生産能力
現時点の生産能力に、これまでに明らかにされている新増設計画のうち、2006年までに稼働が見込まれるものを国別、品目別に集計して加えて算出。
2.生産量
上記生産能力を前提とし、さらに生産量に影響を与える諸要因(過去の稼動実績、国・地域における需要量の見通し等)を加味して、国・地域ごとの予想稼働率を想定し、生産量見通しを算出。
3.需要量(内需)
(1) 実績値
生産量の実績値から、輸入量を加え、さらに輸出量を差し引いて算出。(なお、製品の形態での輸出量、輸入量は内需の動向には反映されていない。)
・需要(内需)=(生産+輸入)−輸出
(2) 見通し
基本的にはGDPの中期的な成長率の見通しをベースに、中期的に見込まれる需要弾性値を乗じて製品ごとに需要量の見通しを算出。但し、国ごとに個々の状況を踏まえた算出方法をとっているケースもある。
なお、エチレン、プロピレンの需要は、誘導品の生産量の見通しをもとに算出。
4.需給バランス
国別、製品別に生産と需要の差により算出。
・需給バランス=生産−需要